0.ピコの正体
わーい、得意なLinux上でのソフトウエア開発と思っていた矢先
Raspberry Pi ≠ Raspberry Pi Pico
という事実。OSもなく、組込みマイコンでした。
※ 下側の青い基板は電子ペーパー(後述します。)の制御基板で、上の緑色がピコです。
気を取り直して、開発環境構築選定していく過程で、実質Linuxシステムによるクロス開発に落ち着きました。
組込み用マイコンでセンサーやスイッチLEDやその他様々なものをI/O接続する事ができます。
詳細は、下記リンクで確認して下さい。
・ Raspberry Pi Picoの説明
・ Raspberry Pi Picoのデータシート
1. 開発環境の構築
開発ターゲットが決まりましたので、これのソフトウエアを開発する環境を整備します。
インターネット検索で調査をすると実に様々な開発環境が有りました。
基本、技術者として他人の絵空事は参考情報で何事も自分で試して決めてきましたので同様な手順を踏みました。
(開発期間が短期の為丁寧な確認はできませんしたが)満足のできる選定ができました。
番号 | 名前 | 評価 | コメント | 備考 |
---|---|---|---|---|
ラズパイ(Raspberry Pi OS)クロス開発 | 〇 | ピコ開発元なので安定しています。但しラズパイでLinuxを動作させた経験から開発環境自体が遅そうです、。 | 参考資料本家のはじめの一歩 | |
Arduino IDE | 〇 | ネット調査の感触では利用者が多い様で情報に困らなそうです。 ソフトウエアの書き方に少し癖がありそうです。 また、開発環境と導入ライブラリのバージョンで悩ましい難題がでてきそう。 | 参考URL:Arduino IDEダウンロード先 追加ライブラリ:更新御確認下さい。 | |
Thonny(Micro Python) | △ | Python環境なので、動かしながらデバッグできます。処理速度に不安がありますが、 バイナリ化も出来る様です。 社内試作ならよさそうです。 | 今回インタプリタ実装は想定外です。 参考URL:Thonnyの配布元 本家SDK:Picoシリーズ向けPython SDKドキュメント | |
Eclipse | × | Windows上のEclipseにArmコンパイラやSDKをインストールしてラズベリーパイ ピコの クロス開発環境にします。 この環境を本命にインストールを進めたのですが、 英語で記述されたインストール方法に従って構築しました。が、 コンパイルはできているのに、Link時に謎エラーメッセージが出て… 時間をかければ解決できそうです…ですが 超速前提、短期開発期間ではトライはNGはて困りました。 他の方法を発見したので中断しました。 | 参考URL:Eclipse CDT 本家SDK:Picoシリーズ向けC/C++ SDKドキュメント | |
Visual Studio Code | ? | Visual Studio Code 個人的感覚と異なる異次元のツール。 未だに使用せずディスクの肥やし状態です。 本家では、Eclipseよりこちらを推奨しているようですが、参照ドキュメントが古いのかインストール途中で説明と異なる状態に見え途中で断念しました。 頻繁アップデートはうれしいです。 | 空白です。 下記により良いソリューションを見つけたので中断しました。 | |
Raspberry Pi Desktop | ◎ | Eclipse環境構築で少し困りラズベリーパイのホームページを探してみると 何とRaspberry Pi OSをWindowやMacで動かしてしまう環境を見つけました! この環境を構築するためには、バーチャル環境が必須です。 幸い私のPC環境にはUbuntu24.04LTSを毎日起動しているVirtualBOX環境が ありました。 上記Ubuntuと同様に「Raspberry Pi Desktop for PC and Mac」で 環境構築できました。 動作速度も問題なく、ラズパイのホームページに記載のドキュメント通りに 無事に開発環境も構築できました。 | 本家環境URL:Raspberry Pi Desktop 参考資料:本家のはじめの一歩 |
開発環境(オペレーティングシステム関連)情報です。
ラズベリパイ ピコにビルドしたバイナリファイルをドラグ&ドロップする為に
Windows10 上のフォルダをRaspberry Pi Desktopにマウントして使用しています。
実際のソフト開発や編集はWindows上のEclipseを使用しています。
2.組込み開発での衝撃
2.1 組込みソフトのインストール方法
組込みだと、ICE上で動作・デバッグして、その後ROM焼きしてテスト実施という手順を踏むことが多いです。
ラズパイだとマイクロSDにOSイメージを作製して動作確認とかソフトのインストールが結構手間でした。
ピコは簡単なしかけをして、ICEやロム書き等の手間をピコをUSBメモリに見える様にする事でピコぺでソフトインストールできます。
電源を落としても実行バイナリはROMに残っていますのでほぼUSBメモリ感覚です。
この方式が特許になっていなかったら、(簡単にコピペできたらいけないシステムも
あるかも知れませんが)組込み系は真似して欲しいです。
以下に簡単な手順を示します。
1.開発環境でビルドして”ターゲット.uf2″ファイルを作成する。
2.Raspberry Pi Picoを開発環境PCに接続前に“BOOTSEL”という白いボタンを押して接続する。
3.開発環境PCにUSBメモリを接続した場合の様にドライブが追加されます。
4.このドライブに”ターゲット.uf2″をドラグ&ドロップします。
5.組込みソフトの書込みが終わると自動で立ち上がります。
はい、組込みソフトインストール完了です。
但し、デバッグはデバッガーを接続できていないので途中で止めたりメモリの値を確認したりできません。
代替手段として、USB接続によるプリント出力デバッグをするようです。
以下に示すデータシートでご確認下さい。
2.2 On/Offスイッチ回路が超簡単
GPIOを使用して入力でピコ内でプルアップやプルダウンを指定する事で
外部にプルアップ/プルダウン抵抗を付けなくても動作します。
※ピン毎の許容範囲には注意(公開しているドキュメント参照して下さい。)
マウスポインタを画像に合わせてPicoの中を覗いてみましょう!
ボタンクラスの初期化メッソード
以下に、ボタンスイッチクラスメッソードを示します。
チャタリング対策や長押し判定等の為、初期化では他にも処理がありますが公開するのはエッセンスのみです。
補足を列挙します。
1.pullupとpulldownは、クラス変数でbool型です。
2.gpioは、クラス変数でuint型使用するGPIOのポート番号が入っています。
3.gpio_init()関数はSDKで用意されている関数です。
4.gpio_set_dir()関数もSDKで用意されている関数です。
5.gpio_pull_up()関数、gpio_pull_down()関数も同様です。
ライブラリを組込んで3関数呼ぶだけで、sw入力初期化終了
後は、入力状態を用意されたSDK関数で状態を確認するだけです。
/*!
* @brief ボタンSWの初期化
* @fn bool initiate();
* @return GPIOポートの初期化状態(true : 成功、 false : 失敗)
* @author M,H
* @date 2024/09/20
* @version 1.00
* @detail 予め設定済みのGPIOポートをスイッチ入力用に初期化する。
* プルアップまたはプルダウンの指定があれば設定する。
* pullup == true かつ pulldown == true の場合は
* 同様に初期化処理はせず falseを返す。
* @par History
* 2024/09/20 新規作成
*/
bool
__no_inline_not_in_flash_func(button::initiate)()
{
if(pullup && pulldown) return false; /*! プルダウン/アップ両方ON、初期化せず終了。*/
gpio_init(gpio); /*! ポートを初期化する。 */
gpio_set_dir(gpio, GPIO_IN); /*! ポートを入力に設定する。 */
if (pullup) { /*! プルアップ指定があれば、 */
gpio_pull_up (gpio); /*! ポートをプルアップに設定する。 */
} else if (pulldown) { /*! プルダウン指定があれば、 */
gpio_pull_down (gpio); /*! ポートをプルダウンに設定する。 */
} else { /*! 両方の指定がない場合は、 */
; /*! なにも設定しない。 */
}
return true;
}
注1: メッソードに見慣れない__no_inline_not_in_flash_func()がありますが、関数をFLASH ROMに置かない設定です。 開発物が随時ROM に状態記録する為、そういう設定にしています。
2.3 Lチカなんて本体だけで実現できる
膨大な公開されているサンプルプログラムがあるので、開発環境を構築して
そのサンプルをビルドするだけで、Lチカ実現できます。そんなこと書くと元も子もないので、ボタンスイッチと同様にC++クラスにまとめました。
初期化メッソードのみですが参考まで。
LED出力初期化メッソード
以下に、LED出力クラスメッソードを示します。
1.stateは、クラス変数でbool型です。trueでOn、falseでOffです。
2.gpioは、クラス変数でuint型使用するGPIOのポート番号が入っています。
3.gpio_init()関数はSDKで用意されている関数です。
4.gpio_set_dir()関数もSDKで用意されている関数です。
5.gpio_put()関数は、出力値を設定します。
ライブラリを組込んで3関数呼ぶだけで、LED出力初期化終了です。
後は、出力値をgpio_put()関数で状態を変更するだけです。
/*!
* @brief LED出力の初期化
* @fn bool initiate();
* @return GPIOポートの初期化状態(true : 成功、 false : 失敗)
* @author M,H
* @date 2024/09/20
* @version 1.00
* @detail 予め設定済みのGPIOポートをLED出力用に初期化する。
* @par History
* 2024/09/20 新規作成
*/
bool
__no_inline_not_in_flash_func(led::initiate)()
{
gpio_init(gpio); /*! ポートを初期化する。 */
gpio_set_dir(gpio, GPIO_OUT); /*! ポートを出力に設定する。 */
state = false; /*! 初期値はOFFに設定する。 */
gpio_put(gpio, state); /*! ポートを設定値にする。 */
return true;
}
注2: LEDには制限抵抗入れて下さい。もちろんGP25は、ピコ内臓LEDポートなので何も必要ないです。